スイートナイト
夜遅くなってもいいから、巽くんに会うことを望んだのは私だ。

私の姿を見た巽くんは歩み寄ると、私を抱きしめた。

「夢じゃないんだな?」

耳元でそうささやいてきた巽くんに、
「夢じゃないよ」

私は彼の背中に両手を回すと、返した。

巽くんは私を見つめた。

「家に、連れて行ってもいい?」

そう聞いてきた巽くんに、
「連れてって」

私は返事をした。


巽くんの家は、賃貸マンションの5階だった。

意外だ。

ナンバーワンホストって言うくらいだから、高級マンションの最上階に住んでいると思っていた。

「どうぞ」

巽くんがドアを開け、私を中に入るよう促した。

「お邪魔しまーす…」

私は巽くんに一言言うと、足を踏み入れた。
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