夜明けのコーヒーには 早すぎる
 「確かに、ね」
 ヒロコはお猪口を空けた。
 「と言いましても、飽くまでぼくの想像ですから、ね」
 カドカワは手酌でお猪口に日本酒を注ぎ、一気に呑み干した。
 「いえ、多分カドカワさんの仮説は的を射ていると思います」
 そう言いながら、ユラはダイの自分を見る眼を思い出していた。
 ―あれは、わたしを恐れていたのか。
 ユラはそう思った。
 何故か、妙に納得している自分がいる。
 ユラはそんな自分を、自分自身が、何の感慨もなく遠くで見詰めている気がした。

 「ま、詮のないことだね」
 というヒロコの言葉で、ユラはふと我に返った。
 「そういえば、ヒロコさん。カドカワさんと出会った時の話が途中でしたよね?」
 気付いた時には、ユラはそう言っていた。
 何故だか、凄く気になったのだ。
 この二人のことが―
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