夜明けのコーヒーには 早すぎる
肴(さかな)その三 ヒロコのお見合い
 「見合い、ですか?」
 ヒロコは思わずそう聞き返していた。
 今は昼休みが終わり、生徒たちは午後の授業の真最中。
 ヒロコは次の授業の準備をしつつ、お茶を啜っていたところを、運の悪いことに、同じ英語教諭である学年主任のミコト先生に捕まったという次第。
 このミコト先生、某未来の猫型ロボットの様な体型をしており、ヒロコは密かにタルボンヌさんと呼んでいる。
 勿論、本人の前はおろか、誰にもそのことは言ってない。
 ―と思う。知っている可能性があるとすれば、飲み友であるカドちゃんぐらいだ。
 そしてこのタルボンヌ先生、人が良いのだがお節介が玉に瑕という人の典型の様な性格で、こと色恋沙汰に関しては必要以上に関わりたがる。
 更に質(たち)が悪いのは、何かと人の見合いを取り計ろうとするのである。
 今日も、お茶を啜っているヒロコに、開口一番、「お見合いしてみない?」と言ってきた。
 余り策を弄して人をどうこうする人ではないのだが、何事もストレート過ぎる。
 神経が図太いというか、無神経というか、同じ様な意味なのに書き表しかたが正反対だな、と意味もなく考える。

 「これ、その人の写真なんだけど」
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