放課後ラプソディー
「運ぶの手伝おうか?」

ここはまだ三階の踊り場。

確かに手伝ってもらったほうがいいよね。

ここはお言葉に甘えて…

「お願いします…」

二人でゆっくりベースアンプを運んでいく。

わたしはその間、何度もその横顔をチラチラと見てしまう。

通った鼻筋、白くてすべすべした肌、ピンク色の形のいい唇、そして長い睫毛の大きな目。

本当に女の子顔負けの可愛らしい顔立ち。

それでもさっきより運ぶのがだいぶ楽になっているこの重たいベースアンプ。

やっぱり男の子なんだなぁ。

やっと生徒玄関まで運びこむと、わたしはもう一度お礼を言った。

「本当にありがとうございます!助かりました!」

「ここでいいの?」

「はい!」

ここからは転がしていける。

「じゃあ、俺はここで。」

そう言うと、玄関から出て行った。

同じ学年の人じゃないよね?

先輩、でも無さそうだった。

可愛い顔と、もうひとつの特徴は背が低かったこと。

148㎝しかないわたしが言えたことでもないけど、多分男子にしては小柄な方。
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