あたし、猫かぶってます。
あたし、負けたくないです。


 早瀬と仲良くなって早5ヵ月経った。最近では、奏多、あたし、早瀬、知奈ちゃん、麻紘でご飯を食べたりすることもたびたびある。

 クラスでは知奈ちゃんと相変わらず仲良しだし、たまに早瀬とも話す。前まで言われなかった女子からの陰口もたまに言われるようになったけど、今では全く気にならなくなった。


 5人で居る時間が楽しくて、楽しくて。周りがどうとか、そんなのどうでも良くなってきたんだと思う。

 でも、相変わらず学校では天然結衣ちゃん。だってこっちの方が男子の扱い楽だしね。悪気は無いんだよ、これでも。


 毎日楽しくて浮かれていた。そんなあたしに、嵐がやってくる。


 「あ、もう少しでテスト期間じゃん。」

 ふと、早瀬が思い出したように言う。


 「今回も遼くんが居れば一位だな。」 

 なんて、余裕な笑みを浮かべてあたしを見る。毎回毎回二位のあたしは、今回こそは早瀬を抜きたいと思っているわけで、


 「あたしが一位だもん!」

 つい、ムキになって早瀬に対抗してしまった。


 「あんまデカい声出すなよ、本性バレるぞ?」

 挑発したのは早瀬じゃん!なんて思いながらも早瀬を睨む。デカい声で叫んだら天然結衣ちゃんポジションが危ういからね。


 「なんなら、結衣も俺んち来れば?」


 「え?」

 予想外の早瀬の言葉。なんで早瀬んち?


 「今日、遼くん来る日だし、一緒にテスト勉強すればいいじゃん。」

 いやいやいや、そしたらあたしが一人で勝ったことにはならないし!!ーーでも、


 早瀬の勉強方法が分かれば、苦手教科が分かれば、テスト対策になるしな。早瀬を抜けるかもしれないし。


 「行く!!!」

 やってやろうじゃん、早瀬。

 今回こそは一位取って、早瀬を見下ろすんだ。絶対絶対絶対負けたくない! 


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