あたし、猫かぶってます。


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 「おじゃましまーす。」

 最寄りの駅から徒歩5分。めちゃくちゃ近いよね、いいなぁ。なんて思いながら、早瀬の親が居たときのために、ぶりっこ全開で挨拶。


 「あ、親まだ来てないから。」

 そんなあたしをあざ笑うかのように、そう言う早瀬。


 「あっそ。」

 ムカつくよね、相変わらず。なんで早瀬ってこんな感じなんだろう。ちょっとは王子様スマイルとか出来ないのかな。


 「ほら、俺の部屋こっち。」

 そう言って、あたしの腕をグイッと引っ張り、早瀬の部屋に連行させられる。


 ーーーガチャッ


 「…ありえない。」

 部屋に入って、第一声。


 「汚すぎでしょ!!」

 いや、そこらへんに漫画本散らかってるし、CD散乱してるし、なんか金融散らばっていて解体した形跡あるし、勉強道具もあちこちにあるし。

 散らかし過ぎでしょ、早瀬。


 「母さんやってくれるから、別にいいよ。」

 そう言って呑気にソファーに座る早瀬。


 「それより、遼くんが来るまで、何する?」


 「…早瀬、掃除機。」


 「は?」


 「だから、家庭教師が来るまでに、掃除すんの!!」

 こんな散らかってる部屋で勉強しても集中出来ないし!学校でも掃除サボってんだから、家くらい片付けてよね!!

 なんて、思いながら。早瀬の部屋の大掃除が始まった。




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