あたし、猫かぶってます。


 とりあえずインフルだったことを早瀬と知奈ちゃんと奏多に報告。麻紘は…まぁ、いいや。


 メールを送ってから五分経たないうちに、


 ーーーヴー、ヴー、

 震え出す、スマートフォン。


 「早瀬からだ、」

 今は授業中なのに、なんで電話きているのだろうと疑問に思いながらも電話に出る。


 『結衣、生きてる!?』

 いつもより大きめの早瀬の声。ちょっとうるさい。


 「生きてる、早瀬、授業は?」


 『サボった。てか、こんな時まで勉強のことかよ。』

 呆れたような早瀬の声。だって、授業中なのに、電話かけてきたからじゃん。


 『授業出なくても結衣に勝てるし、余裕だわ。』

 そう言って、ハッと鼻で笑う早瀬。相変わらずの性格の悪さも、なぜか今日はムカつかなかった。


 『だから、早く治せ?』

 意地悪を言ってから、優しくなる。


 結局は優しくて、いくら隠していても声を聞けばちゃんと伝わってくる。なんか、早瀬って、嘘とか下手そうだよね。


 「早瀬プリン食べたいーーーー嘘、心配してくれてありがとう。」

 意地悪を言ってから優しくなる、早瀬の言い方を真似してみたけど、あたしが言うとツンデレみたいになっちゃう。可愛い。


 『プリン?分かったーー寝て待っとけ。』


 「え?」


 『今から鞄取ってソッコー行くから。』  


 「ちょ、早瀬ーーー」

 言い終わらないうちに電話が切れる。


 嘘だって言ってんのに、バカじゃないの。話聞かないし、授業サボるし、なんなの早瀬。…嬉しいし。


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