あたし、猫かぶってます。


 それから早瀬と適当に世間話して、あいつはどうとか、こいつはどうとか、どうでもいい話をして地味に盛り上がった。


 早瀬は毒舌で、あいつは可愛くないとかナルシストじゃないかとか真顔で言っていて、笑ってしまった。





 「あ、そろそろ戻ろうよ。」

 あたしがそう言うと、早瀬は軽く欠伸をしてーー


 「先戻ってろよ。一緒だと怪しいし。」

 そう言って、あたしを生徒会室から出るように促す。


 「早瀬、ありがとう。」

 そう言って、あたしは教室へ戻る。


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 「早瀬ちゃん、大丈夫!?」

 教室へ戻れば、あたしに駆け寄って心配しているような表情をする男子2人。本当に心配しているかは、謎。


 「あー、ちょっと頭痛くて。心配してくれてありがとう。」

 にこりと笑って、お礼を言うことも忘れない。あたしだからできる完璧な演技。


 ぺこりと頭を軽く下げて、知奈ちゃんの方へ行く。


 「やっぱ早瀬ちゃん可愛い~」


 「天然で控えめってヤバいよな。」

 後ろでさっきの男子たちが、あたしの話で盛り上がる。


 可愛くなきゃ、こんなみんなに愛想振りまかないし、君達もあたしに騙されているんだよ?言わないけど。あたしは男子に心配されるより、


 「結衣ー、おかえり!寂しかったあっ」


 こっちの笑顔の方が、何倍も癒されるんだけど。


 「ただいま、知奈ちゃん。」

 日曜日、楽しみだな。なんて思いながら、知奈ちゃんといつも通りお喋りして、ばいばいして、ーーついに、ドキドキの週末が幕開けのようです。


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