ここに在らず。


本文の出だし、一行目の頭へと目をやる。文字を読む。単語を理解し、頭の中で言葉を繋げ、文にする……


「……ダメだ…」


つい、声が口から零れる。

私は諦めて本を閉じた。今日はずっと本が読めていない。教室に戻ってからというもの、ずっと頭がクラクラするのだ。学校に居るからかなと思ったのに…何故だろう。なんでだろう。頭が働かない。というか、何というか…もう、本も読みたくない…。


私は閉じた本の表紙を眺める。もう開く気すら起きない。もう何も考えたくないし、何もしたくない。なのにどうしよう、どうすればいいのだろう、なんて気持ちがどこからか湧いてくる。それが一体何に対してのものかも分からない。でも私はそれに対して考えを巡らそうともしない。そんな力が残っていない。


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