ここに在らず。


一睡も出来ていない訳では無い。ハッとすると1時間程時間が過ぎていた、なんてそんな事は度々ある。でもそれが途切れ途切れに何回かあるだけで、長く眠れた事がここ数日は一切無かった。だから目が重い理由、それも本当は…分かっている。分かっていたのだ…でも、


「私は、眠っています…」


寝れていません、なんて言いたく無かったし、認めたくなかった。可笑しくなっている私を認めたくない。まだ何とか頑張れる、きっと頑張れる。そう自分に言い聞かせるためにも、寝ているのだと思いたかった。

そんな私をトウマさんに知られたくない。知られていたとしても、トウマさんに言いたく無かった。それはトウマさんだから…という訳でも無くて、私はもう他の誰かとそういう何かの繋がりを持つことが怖かった。もうその存在を知りたくない。これ以上は抱えきれない。


「…だから…もう、帰って下さい…何もありませんから、だからもう…」



“帰って下さい”



ーーしかし、次にもう一度、その言葉が声になる事は無かった。


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