ここに在らず。


大嫌いなそこ。どれだけ経験しても慣れないその暗闇の中。…でも、今日の私は一人ではなかった。私ともう一人、私の事を知ってくれている彼の名前を知っている。


トウマさん…


また会いたいな。そう思った私は後日、放課後にうろ覚えな記憶を頼りにあの公園を探し始めた。

学校以外には行ってはいけないはずの私。でもそんな事はもうどうでも良かった。兎に角あの日を実感したかった。


ーーそして探し始めて数日後。

なんとかそこへと辿り着く事が出来たのだけれど、そこにはもちろん彼の姿は無かった。そんなに都合良く彼が居るはずもない。そんな事は分かっていたけれど、やっぱり私はガッカリした。

…でも、ガッカリしたけれどそれ以上に、公園を見つけた事実が私を駆り立てる。


あの日は本当にあった。ちゃんとトウマさんも絶対に居る。また会える。だって、トウマさんは分かったと言っていた。


そして、それからの私はというと事あるごとに公園へと足を運ぶようになっていって、それがまた本邸の方で問題になった。


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