ここに在らず。


なんて、目を丸くしてもう一度尋ねる私に、ナツキさんは笑いながら「それ以外に何があるんだよ」と先の扉へとまた進み始め、私は慌ててその後に続いた。

トウマさんの家…そうか、私はトウマさんの家に連れて来てもらったんだ。そう理解した瞬間、何処かもわからない場所では無くなった事で、無意識にも私はホッとする。


そして、ナツキさんが開いた扉の向こう側。そこには真ん中にソファがあり、ソファの正面には大きなテレビ、そして入ってすぐ左奥には綺麗なキッチンがあった。


「ここがリビングな。そんであの先が仕事部屋」


そう言って彼の指差す先のリビングの右の壁側、ソファの後ろにはもう一つ扉がある。それが仕事部屋という部屋らしい。

< 252 / 576 >

この作品をシェア

pagetop