ここに在らず。
想像してみる。高校を卒業した自分。そして大学に入学…いや、大学にお金をかけて私なんかをいかせるとは思えないか。だとしたら高校を卒業した私は…どうなるのだろう。
ーー結局、私には見えなかった。
卒業して追い出されるのか…はたまた閉じ込められるのか…どちらにしろ私に命がある限り、その先の未来があるはずなのに、私には全く見当もつかない。
今ここに居ても、未来に私は居ない。
…それが、一番怖い事だと分かった。
私はドアノブに手をかけて、いつもより重く感じる扉を開く。
怖かった。怖くて仕方なくて、でももう何がどれが怖いのか私には分からなくてーー、助かる術はトウマさんに会う事以外無いと思った。
見つからないように、見つかる前にトウマさんに会えるように私は全速力で走り出す。
どうせすぐバレてしまう。その後どうなるかは分からない。でもその前にトウマさんに会って聞きたい。この怖さの名前は何?どうやったら無くなるの?