ここに在らず。
本当にナツキさんが良いと、そう思った。
確かにあの時、ナツキさんが現実だと告げたそれに、私が動揺してしまって…なんだかゴタゴタしていってしまった訳だけど、それがあるから今がある訳で。
私はナツキさんが教えてくれて良かったと思っているし、それに対してナツキさんが悪いと思った事は無かった。あれは全て私が悪かった訳だし、言うならそれを正してくれたのがナツキさんと言う事になる訳で。そんなナツキさんに感謝しているし、これからも可笑しいと思ったら正して貰いたいと、本当に思っている。
「よろしくお願いします、ナツキさん」
そう言って私が頭を下げると、ナツキさんも慌てて「こちらこそよろしくお願します」と同じようにペコリと頭を下げた。トウマさんは少し納得がいかないような、心配しているようなそんな表情をしていたけれど、私が頼んだ事だ。ナツキさんのお世話係をちゃんと認めてくれた。