ここに在らず。


どこか怪しみながらもナツキさんはそう答えて、いつも通りにパソコンへと向かう。どうやら今の所は上手く出来たみたいだと、私はホッと胸を撫で下ろした。


このまま上手くいけばいい。

ナツキさんにバレる事も無く、トウマさんに嫌われる事も無く、上手くやり過ごしていければいい。そして昔の私に戻れたら…

きっと今の私なら、それが出来るはず。



ーーそれからというもの、私は毎日トウマさんの帰宅が待ち遠しくて仕方なかった。

不安なのだ。トウマさんが居ない時間が、トウマさんの傍に居られない事が、彼の想いを確認出来ない瞬間が、全てが私にとっては不安でしかない。

もし私が居ない間にトウマさんの気持ちが変わってしまったら、もしトウマさんがもっと価値を見出せる存在に出会ってしまったら、もしそんな事になったら私は…私は一体ーー…


それを思う度に、私は不安に押し潰されそうになる。そんな私の不安はトウマさんの傍に居る間、その僅かな時間でしか取り除かれる事は無かった。


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