ROMANTICA~ロマンチカ~

8.都季、ヘコむ

――「千住さぁん! 聞こえますかぁ?」
 


遠くからあたしを呼ぶ声。
 


――誰?
 



バチコン!


 

頬に痛みが走る。


 
「イタッ!」
 

「千住さぁん! やっと、気がつきましたね」
 


初老で大柄のおじさんが言った。


後で聞いたところによると、氷室家のかかりつけ医らしい。
 


ホテルの一室。


ベッドの上のあたしは、もはやドレス姿ではなく、バスローブを着せられていた。


ほっぺが痛かった。
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