ROMANTICA~ロマンチカ~

4.格闘

タクシー運転手に扮した倉元と富沢俊夫の二人に両脇を挟まれるようにして、涼輔さんは現れた。
 

出会った頃のように、

いつかのパーティの時みたいに、

人を近寄せない冷たいオーラを身にまとっていた。
 

あたしはずっと、うつむいていたけれど、涼輔さんは両手を縛られているみたいだった。
 

今からでもこんなバカなことはやめようと言いたかったけれど、猿ぐつわを噛まされていたから、何も言えなかった。

騒ぎ立てるあたしに手を焼いた旗丸理恵子が、猿ぐつわを噛ませるよう、高城に指示したのだ。
 
涼輔さんの顔を見ることなんて、とてもじゃないけれどできなかった。
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