ROMANTICA~ロマンチカ~
「原島、もうそれ以上言うな。

都季、原島を悪く思わないでやってくれないか。

お母さんが亡くなっただけでも、酷いショックを受けていた君に、さらに追い打ちをかけるようなことは、したくなかったんだ。

それに、今までに私から君にそのことを話す機会は、いくらでもあったのに、どうしても言えなかった。

あの三人が会社を辞める素振りもなかったから、油断していたこともある。

ついズルズルと黙っていた。すまない。結果的に、君に余計に辛い思いをさせた」
 
――ああ、涼輔さんも原島さんも、あたしに気を使ってくれていたんだ……。
 

あたしは、ママが死んだ直後、まったくのフヌケだった。

もしも、殺人だったかもしれないなんて言われたら、何をしでかしたかと思うと、自分でも恐ろしい。
 
「結局、うちの会社って、倒産寸前だったんですね……」
 

そう言えば、前に住んでいた家を直していた施工主は、不良債権が何たらかんたら言っていたっけ。
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