ROMANTICA~ロマンチカ~
ママの会社の財務諸表には多額の使途不明金があったこと。

そして、経理担当で横領できる立場にあった富沢親子、それにママに一番近い所にいつもいた旗丸理恵子にの三人に疑いの目を向けたこと。

だけど、確たる証拠があったわけではないから、表立って動くことはできなかったこと。

証拠隠滅の恐れがあったから、取りあえず三人を地方に出向させたこと。
 

「全ては、原島がしてくれたことだが……」
 
「都季様、申し訳ございませんでした」
 

助手席から振り返って、原島さんが言う。
 

「正直、背任横領に気づいた時に、もしや千住社長の事故も仕組まれたものではないか、と思わないこともありませんでした。

ですが、穏便に事をすませたいと思ってしまったばかりに……。

横領がわかった時点で、警察に通報していれば、今日のようなことにはならなかったかと……」
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