ROMANTICA~ロマンチカ~
そ、それにしても……。
 
――どうして、今まで思い出さなかったのよ!
 
青くなっているところへ、涼輔さんの裏声。
 

「トキちゃんねぇ、大きくなったら、涼輔くんのお嫁さんになるのぉ」
 
「え……? そんなこと……」
 

言ったような、気がする……。冷や汗。
 
「うん、そこだけは覚えてる」
 
満面の笑みを浮かべる涼輔さん。
 

「『考えておいてやる』クールな俺は、こう答えた。まあ、ご要望があるんだったら、応えてあげてもいいけれど……ね?」
 
「あ、あの、その……」
 
言葉が出ないのは、恥ずかしいからじゃない。
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