ROMANTICA~ロマンチカ~

2.海に流して

海岸に打ち寄せる白波。

冬の海にしては、ないでいて穏やかだ。
 
「カニだ! カニがいるぞ、都季」
 
涼輔さんが、はしゃいだ声を上げる。
 
「もう少し大きかったら、食べられますかね?」
 
「何でも食おうとするなよ。情緒のわからんヤツだな」
 
「あ、桜貝。キレイ」
 
「話をそらすな」

 
氷室家の伊豆の別荘にやって来てから、一週間ほどが過ぎた一月二日。
 

この一週間ばかり、涼輔さんは完全にオフを楽しんでいた。
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