ROMANTICA~ロマンチカ~

4.探偵

「チ、チキンレバー?!」
 


デスクに偉そうに座っていた探偵の、すっとんきょうな声。



それと共にボタッという音を立て、そいつは床に落ちた。


 
十月の半ば、残暑の最後のリヴェンジのような暑い日だった。



S区にある雑居ビルの三階。

連日の酷使に耐えかね、今にも壊れそうな悲鳴を上げるエアコンのモーターもやかましい。



「ヤナギヤ探偵事務所」にてのことだ。
 


床に落ちたのは、ジップロックに入ったパンティ。

しかも、血ノリの付着したやつ。



キャッチ・コピーをそえるとしたら、「(一部の)マニア垂涎(すいぜん)の的」ってところだろう。

 
目の前のカップに紅茶がなみなみと注がれ、端からこぼれて行く。


ダメじゃないか、こぼれるまで注いだりしたら。
 
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