年下の不良くん《番外編》


「──今日もご馳走になってごめんね??
今度はあたしが奢るから!!」



今日も素敵なレストランでご馳走になってしまったのにも関わらず、しゃちょーさんはあたしを家まで送ってくれる


「ははっ、いや学生に奢られる訳にはいかないよ」


ここ数ヶ月でやっと、初めて会った頃のような笑顔になってきた、しゃちょーさん


少しずつしゃちょーさんは変わってきていて、あたしは心の底から嬉しい


「でも、やっぱり申し訳ないしねー…
それにそこそこ稼いでるから問題ないよ」


「いいんだよ、それくらい
一人で飯なんか食っても美味しくないし、それに俺、基本一緒に食べてくれる人がいないと食べない人だから」



そう言って、しゃちょーさんは遠い目をして、何かを思い出しているかのような表情を見せた



それを見ただけで、あたしの心はずきりと痛くなる


「ねぇ、しゃちょーさん」


ゆっくりと家の前にしゃちょーさんが運転する車が着き、停車した車内では今流行りの曲が流れていた


「ん??何??
次の予定??」



「ううん、違うよ」


バラードのこの曲の内容は恋愛のもので、周りの友達の大半がこの曲を聴いていて、今はちょうどサビの部分


「じゃあどうしたの??」



「──あたしもう、しゃちょーさんと会わないよ」



気持ちに気付いた以上、もう一緒に食事は出来ない


不意に見せる彼の悲しそうな、何かを懐かしむような表情を見るのが苦しい…



ずっとどうしようかと、誰にも相談せずに悩んでいた


りりかに言えば彼女が傷つくだろうし、優美に言おうとすればタイミングが掴めない



でも今日、久々に会って分かった


──あたしはもう、耐えられない…




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