年下の不良くん《番外編》


瑠璃を抱きながら、縁側で仲良く遊ぶ翔くんとお父さん、それに海鈴を見守っていると、帰りの遅いもう一人の弟の事が気になった


「お義母さん、鴻佑くんはまだ会社??」


お父さんの引退が間際にと、迫ってきた今日この頃


会社を継ぐ事にした鴻佑くんは、いろいろと忙しい


今までも割りと多忙を極めていた彼だが、最近は特に忙しくなったらしい


「そうなのよ
父親は家にいて、息子は会社って何だか矛盾してると思わない??」


ちらりと横目でお父さんを見ながら、お義母さんは嫌みを一つ溢した


「何だ、それは私に対する嫌みか??」


むっとしながら座敷に上がってきたお父さんは、少しだけお義母さんに睨みを利かせる


「別にそうじゃないわ
けど、可笑しいわねって話です」


「私は引退する身なのに、せっせと仕事する方が可笑しい
それに彼奴はまだ何も知らないから勉強させてるだけの事だ」


「あらそう??
それならいいんですけど
でもあまり息子を苛めないで下さいね」


ふんっとお義母さんからそっぽを向いたお父さんは、ちょっとだけ悪者扱いされた事に拗ねたみたいだ


それがまたおかしいんだけどね


「あ、噂をしたら帰ってきたわね」


遠くの方から鴻佑くんの声が聞き取れたお義母さんが、ふわりと笑って彼を出迎える



「お帰りなさい、鴻佑」


「ああ、ただいま
…って家族総出で驚いたよ」


「ふふっ、お疲れ鴻佑くん」


「ただいま、姉さん
…翔さんもいるんですね」


「ったりめーだろ」


ちょっとだけ突っかかった物言いの二人も、昔から変わらずだけど、未だに二人が大喧嘩をした所は見ていない


きっと二人して、この関係が楽しいのかもしれない


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