「先輩、好きです」
先輩の背中


「ここはこうであって…」


チョークで黒板を打つ音が、静かな教室に響く

他に聞こえるものがあるとすれば、カチカチとシャーペンのノックを押す音や、ペンケースを漁る音、ノートにペンが走る音

当たり前の風景なのだけれど、何かがおかしい

……うん、おかしい


「奈津…」

「…ん?」

若干のニヤケ顔で私に声をかけたのは、隣の席の篠崎翔太

昔からの幼馴染みでもある


「皆静かだよな」

「だね」


彼は楽しそうに周りを見渡している


「なんか、気持ち悪い」

「ん?」

「翔太」

「俺!?」

「だってずっとニヤけてる…」

「い、いや~…だってほら…」


ニヤニヤをおさえるかのように片手で口元を隠す翔太

……もう、なんなの
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