歪み

帰り道、紅梨と別れて
真柚と2人で歩く。


「真柚、ずっと聞きたかったんだけどさ
紅梨と友達になったきっかけって
何だったの?」

「きっかけ?
わからないけど突然紅梨が
あたしの目の前に立ってて、
何ですかって聞いたら友達になろうって」

「そうなんだ」

真柚はいつも澄んだ声で淡々と話す。
可愛らしく話すのでもなく、
ぶっきらぼうでもなく。
ただ、淡々と。

だからたまに感情が読み取れなくて
ざわつく。
特に中学に入ってから時たま
真柚が大人びて見えて遠くに感じる。


そういう時、ぎゅっと手を握って
傍にいて欲しくなる。
自分が女々しく思える。


「拓は、紅梨の事嫌いなの?」

「え?」

突然、何だよ。
そう言いかけてはっとする。
真柚が真柚じゃない気がして。

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