キケンなアイツとの生活
自分で言ったくせに、こんなに緊張するなんて…。トナリの冬弥さんなんて、余裕のある顔しちゃって……。


「寝れない?」
「あっ、当たり前でしょ…。こんなの初めてだもん…」
「じゃあ、手繋ごうか」
「手…?」


首を傾げると、冬弥さんがわたしの手を握って、もう片方の手は頭を撫でてきた。


あ…わたしの好きな手だ…。やっぱり、この手が好きだ…。


「これ、好き?」
「うん、好き…」
「……なんか勘違いしそう」
「え?」


勘違い…?あ、好きって言ったから?!だ、だって好き?って、聞くから答えただけなのに…!


「と、冬弥さんのことキライじゃないよ…。あの、今は蒼甫のことでパニックになってて…」
「分かってるよ。愛梨のことは、ゆっくり待つから」


ま、待つって…冬弥さんは、わたしのこと好きなの…?でも、そんなの聞けないよね。でも、勘違いしそうなんて、やっぱり好きなの…?


「ほら、もう寝な。朝までこうしててあげるから」
「…うん」


やっぱり冬弥さんがいると、余計なこと考えないで済む…。だんだんと眠気が襲ってきて、気付けば意識を飛ばしていた。


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