キケンなアイツとの生活
「ホテルシャトーまでお願いします」


パパが運転手さんにそう伝えると、タクシーはゆっくりと発進した。


ホテルシャトー……どこかで聞いたことのある名前。


考えてはみるけど、思い付かなくてホテルに着くまでの約20分間、わたしはずっと窓からの景色をただ見ていた。


「愛梨、着いたよ」
「……うん」


やがてタクシーが停まり、ドアが開く。


パパのあとに続き降りると、お城みたいなホテルがわたしの目に映った。


「ねぇ、パパ…」
「ん?」
「こんな高そうなホテルで食事会なの…?」
「あれ、言ってなかったか?千夏の息子、冬弥くんはここの社長だよ」
「……え」


しゃ、社長…なの!?


ハタチで、こんな立派なホテルの社長…!?
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