キケンなアイツとの生活
「おやすみなさい」
「もう寝るのかよ、早っ」
「うるさい、黙って」


二階に上がろうとするわたしに突っかかってきたのは、もちろん冬弥さん。キッ!と睨みつけて、今度こそ二階へと上がった。


「なーんか、あいつまた変じゃない?」
「あぁ、冬弥くんも思うか?」
「わたしと二人でいる時は楽しそうにしてくれるんだけど…」
「ちょっと、様子見てきていい?」
「あぁ、オレらが行くより冬弥くんのほうがいいだろう」
「変なことだけはしないでよ?冬弥」
「しねーよ」


冬弥さんが二階に上がってくるまでに、こんな会話がされてたなんて知らなかった。みんなに心配かけてたんだよね、わたし…。


「開けるよ、愛梨」
「って!開けてから言わないでよ!」
「いいじゃん、もう寝るだけなんだし」
「………」


それはそうだけど…。一応、ココロの準備ってもんがあるじゃない。でも、このオトコにそんなこと言っても通用しないよね。


「なにしに来たのよ」
「んー?夜這いしに来た」
「なっ…!?」


冬弥さんがベッドの上に腰を下ろすと、ギシギシっと音が鳴る。その音にドキリとして、横へとずれた。


「なに、横にずれて。オレのスペース空けてくれたの?」
「チガウから!!」
「優しいなぁ、愛梨は」
「だから!チガウってば!!」


聞き耳もたないこのオトコは、ホントにわたしのトナリへと来た。そして、またわたしの好きな頭ポンポンをさりげなくするんだ。


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