キケンなアイツとの生活
「どうした?またなにか考えてんのか?」
「………」


どうしてこのオトコは、そうやってわたしの思いをなんでも気付いてしまうのだろう…。


「べ、」
「べつに、の答えを聞くために、ここに来たんじゃないからな?」
「………」


こわい、怖すぎる…。なんでもお見通しの冬弥さんが、おそろしく怖い。


ホントは言いたくない。だってこんなこと、ただのわたしのワガママだし、こんなこと言ったってゼッタイ困らせるに決まってる。


だけど、冬弥さんの頭ポンポンが気持ちよ過ぎて、つい言いそうになっちゃう。だけど、先に話し出したのは冬弥さんのほうだった。


「愛梨、オレもさ。たまに、たまぁにだけど、母さんと楓太さんが仲良くしてるのおもしろくない時があるよ」
「え…?」


それは意外な言葉だった。だって、出会った時はそんなこと一言も言ってなかったのに。むしろ、賛成してたくらいにのに。


「楓太さんに嫉妬まではしないよ?ハタチのオトコがオトコに嫉妬とか気持ち悪りぃだろ?」


まぁ確かにそうかもしれないけど…。でも、冬弥さんだって、千夏さんの子供なんだ。そう思う気持ちだって、あって当然だ。


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