千恋☆ロマンス Ⅱ






ザワッ…………



途端、強い風が吹いた。









「あの男共、私を退けたのはそう言う事か……。」





チッという舌打ちと共に聞こえたのは、美鞠ちゃんの重々しい声で。




「……永遠子、モノの声を聞いてくれないか。」


『う、うん。』




真剣な表情の皐月に頼まれ、モノの声に耳を澄ます。







『…………まただ。』






何も、聞こえてこない。



こんなに活気に満ちてるお祭りなのに、何一つモノの声が聞こえない。




「聞こえないのか?」



美鞠ちゃんに聞かれて首を縦に降る。







「これは、厄介なものが降りてきたかもねー。」


「厄介……じゃ済まされないだろーよ。」



『どういう事?』






「上の上の……人でないもの……人の全てを司る奴がこの会場にいる。」





皐月が言った言葉と、何かが繋がった。






『天命府……?』



「とわっちゃん、なんで知ってるの……?!」




言葉を発した途端、時間が止まったようにしんとなった。





『潤君に、教えて貰った。』






「関わらない方が……良かったのにっ。」




この時のハルの、泣きそうな、それでいて力強い瞳は、忘れられないような、そんな印象的な瞳だった。





「頼む。加勢しにきてくれないか。」


『加勢って……何に?』


「志紀様と潤に。



社に。きっと社にいる。」




そんな気がするんだ、と美鞠ちゃんは言った。








< 19 / 26 >

この作品をシェア

pagetop