千恋☆ロマンス Ⅱ
ザワッ…………
途端、強い風が吹いた。
「あの男共、私を退けたのはそう言う事か……。」
チッという舌打ちと共に聞こえたのは、美鞠ちゃんの重々しい声で。
「……永遠子、モノの声を聞いてくれないか。」
『う、うん。』
真剣な表情の皐月に頼まれ、モノの声に耳を澄ます。
『…………まただ。』
何も、聞こえてこない。
こんなに活気に満ちてるお祭りなのに、何一つモノの声が聞こえない。
「聞こえないのか?」
美鞠ちゃんに聞かれて首を縦に降る。
「これは、厄介なものが降りてきたかもねー。」
「厄介……じゃ済まされないだろーよ。」
『どういう事?』
「上の上の……人でないもの……人の全てを司る奴がこの会場にいる。」
皐月が言った言葉と、何かが繋がった。
『天命府……?』
「とわっちゃん、なんで知ってるの……?!」
言葉を発した途端、時間が止まったようにしんとなった。
『潤君に、教えて貰った。』
「関わらない方が……良かったのにっ。」
この時のハルの、泣きそうな、それでいて力強い瞳は、忘れられないような、そんな印象的な瞳だった。
「頼む。加勢しにきてくれないか。」
『加勢って……何に?』
「志紀様と潤に。
社に。きっと社にいる。」
そんな気がするんだ、と美鞠ちゃんは言った。