エデンの林檎
ポーンー…。
最後の一音。
良かった…。
最後まで弾ききれた。
ふぅ、と一呼吸置いてペダルから足を離し
室内に和音の余韻を響かせ
達成感を噛み締めていると
パンパン、と、私の後ろから拍手が聞こえた。
「ブラボー。とても良かったよ。」
「先生…。
いえ…私なんか全然です。」
「ブランクがあるのにここまで弾けるのはすごいよ。
それに、オレは好きだな…星野のノクターン。
表現、指のタッチ、音の強弱…素晴らしかった。」
「あ…ありがとうございます…。」
あんなすごい演奏をした先生に褒められたら
もし仮にお世辞だったとしても照れてしまう。
きっと今私は真っ赤な顔をしてるんだろうなぁ…。