俺と君の現実論

ちなみに、ハルキは俺のことを【きゅーさん】と呼ぶ。

そう呼んでいいのは彼女だけで、他のメス豚(もしくはハイエナ野郎)共が俺をそう呼ぶものなら、二度と喋れないよう喉をかっさばいてやろう。

だって、好きな人にだけ、特別な名前で呼んでもらいたいじゃないか。


「きゅーさん、きゅーさん」

「ん。なーに、ハルキ?」


くいくいっと服の袖を引っ張ってくるハルキ。

ああもうっ、可愛いなあ!


「私は雪だるまを作っているので、きゅーさんは適当にどっか滑ってきていいですよ」

「……。」


でた。

ハルキの無自覚ばっさり突き放し言葉。

しょっちゅう、ハルキはこうやって俺に対し冷たい言葉をかけるときがある。

前に我慢できなくなって『俺のこと嫌い?』と聞いてみると、

『はい?何を今更。憎めないほどあなたを愛していますし、浮気しようものなら浮気相手の女をまず踏み潰してやりますが?』

だそうで。

つい冷たくしてしまうのは仕様で、無意識にやってるそうだ。

…なんと、タチの悪い。
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