俺と君の現実論

しかし、その無自覚冷徹な面も、好きな人なら愛すべき箇所といったところだろう。


「ハルキは滑らないの?」

「私は雪だるまを作りたいです」

「…スキー場なのに」

「雪だるまを作りたいです」

「……スキーしない「しません」

「……。」


時々、強情なところもある彼女。

いやまあ、彼女がそうしたいなら雪だるまを作っていてもいいんだが。

むしろその愛らしい姿をこの目に収めておきたくも思うのだが。


「俺は、ハルキと一緒に滑りたいんだけどなあ…」


そうは彼女に言い出せず、結局はスキー場のポイントでスノボ片手に立ち尽くすしかなく。

少し寂しく思いながら足をスノボに固定させた。
< 5 / 29 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop