俺と君の現実論

ひとり寂しく、固定し終わり次にゴーグルをつけようとゴムを伸ばしていると、ふいに声をかけられた。


「あ、えっと…、ちょっといいですか?」

「! やばいっ、ちょーイケメン!」

「ちょっと聞こえるって!…でも、確かにカッコいいかも~」


「……。(なに、こいつら)」


髪を金やら茶にやら染めた女子大生が話しかけてきたようで。

これはいわゆる、逆ナンというやつ?

怪訝な顔を隠せずにメス共を睨んでいるとどう勘違いしたのか、きゃっきゃとはしゃぎながら服の袖を引っ張ってきた。


「大丈夫ですよう、あっちにも男いますしい」

「私たち、今日スノボ初めてで…」

「あっちで待機してる男たちに教えてもらおうかと思ってたんですけど、人数足りなくってえ~」


「……。だから、なに」


あからさま不機嫌に返事をすれど、この化粧ブサイク女はなかなか手を離してくれない。

ああ、気持ち悪い。
そのバケモンみたいな目で俺を見るな。
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