Doll
act:3
ぼくはまた 夢を見た。
針を持ち、泣きながらぼくを見つめる女王蜂。

しかし羽が千切れていて あの煩い羽音が無く、静かな空気が漂っている。

女王蜂は ただただ ぼくを見つめていた。


「お前、羽どうしたんだよ」
「・・・・・」
「どうしていつもぼくの夢に現れるんだ」
「・・・・・・・・」


女王蜂は少し考え込むような素振りを見せたあと、
手に持った針を大きく振り上げ、自分の腹に思いっきり突き刺した。

「お、おい!!・・・・・え?!」

針の突き刺さった腹から飛び出したのは

真っ赤な血・・・・ならまだよかった。
白くてふわふわしたものが勢いよく飛び出してきたのだ。

ぼくは一瞬、眼を疑った。



これは・・・・ 生、クリーム?



ぼくは部屋たくさんの生クリームに息ができなくなった。

意識が朦朧と、する。

―――やばい、死ぬ。



〈ねえ、あなたもわたしのこと どうでもよくなったの?〉
〈田舎を飛び出したほんとの理由は、何?〉


〈ねえ?〉


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