Doll

――― 身体が 重たい

夢から覚めるとぼくは
全身が汗だくになっていた。頭も少し、ずきずきして痛い。


…あの女王蜂。
なんだかぼくは昔から知っている気がする。…勘でしかないが。

世に言う『怨念』というものなのだろうか?
ぼくを強く恨み 夢の中にまで入り込んできた。みたいなね。しかしそんな強く恨まれるようなことを他人にした覚えはない。
他人なんて興味がないから、圭以外の人間とは今までなるべく関わらないように生きてきたつもりだ。



少し考えてからぼくは
なんとなくハニーに電話を掛けてみた。

『…お掛けになった電話番号は、現在使われておりません…』

知らない女の声。



ハニー

何故きみは昨夜いなかった? そして電話が繋がらない理由は? きみは今どこにいる?

――― アイ 。


ぼくは電話を切り
再びアドレス帳から違う人物を探した。


「圭?ぼくだけど。話したいことがあるんだ。今日会えるか?」


圭は大学を休講し、その電話から20分後くらいにぼくの家にすっ飛んできてくれたのだった。
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