Doll

「ねぇ、君。」
「・・・・。」

ピンク髪の女の肩にぽんっと手を置くと彼女はスッと振り向いた。


やばい、かなり美人。


「1人で何してんの?暇じゃない?遊ぼうよ。」


女は 困る様子も笑う様子もなくじっとぼくの顔を見つめていた。


「・・・・・。」
「あ、用事ある?」
「・・・・・・・・。」


なんか、返してほしい...。


しばらくの沈黙が続いたあと、彼女は無表情のまま ぼくから視線を外し また歩いていってしまった。


「・・・っだよ、感じ悪いな。・・・あ、」


あの子、何か落としてったぞ...。


ぼくは慌てて彼女が落としたものを拾ったが、いつの間にか彼女は姿も見えなくなっていた。


...これは、プリント倶楽部ってやつか。
若い男と さっきの彼女が写ってる、あの無表情からは想像もできないような柔らかい笑顔で。


「....悠馬...ハート...愛...」



   愛....アイ。



確かにそう書いてある。

彼女の 名前か。


ぼくはそのプリクラを財布にしまっておいた。

なんとなくアイとまた何処かで逢えるような気がしたのだ。
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