君の温もりを知る

その理由が知りたくて


どれくらい走ったんだろう。

明日に何もかも任せて辿り着いたのは、
見覚えのある近所の公園だった。


「…あけ…び、ありがとう」

「ああ。とりあえずそこ、座れ」


息を整えるのに必死な私と対象的に、
汗一つかいてない明日は、
私にブランコに座るように促した。

私が二つ返事でゆっくり座ると、
明日も鎖の音を鳴らして腰掛ける。


「…お前、俺達もあっちから見て
誤解されるような見え方だって
思いもしなかったろ」

「ごめん。でもね、
……先輩達のは、誤解なんかじゃなくて
本物なんだよ、きっと」

「そんなの、確かめてみなきゃ
誰もわかんねーだろうが。馬鹿かお前」

「馬鹿で結構です」


ネガティブに考えてた方が、
そうじゃなかったときには嬉しいし、
予想が当たってたときも、
心構えができているから大丈夫。

ほら、これが一番だよ。

足を地面から離して、
ブランコの小さな揺れを楽しむ。

明日を盗み見れば、
こちらをじっと見て、とてもとても
悲しい顔をしていた。


「ね、ねえ、聞きたいことがあるの」


この悪い空気を変えたくて、
半ば無理やりに話題を振ってみる。


「……なに?」


ちょっとだけ不機嫌なのも、気にしない。


「…なんで私を手伝ってくれてるの?」


そう聞いた瞬間だった。
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