君の温もりを知る

なんだか急に馬鹿らしくなったんだ。
何をって、ほら、全てをってやつ。

こんないち住宅街で、俺は一体
何をやってんだって、冷静になった。

そして再確認。

吉原真白は、やっぱり毒でしかない。


「ーー教えてくれよ」


俺の意思とは反して、口が勝手に動く。


「へ?」


いきなりの俺の反応に、吉原真白も
驚いたようだ。俺だって、驚きだ。


「ピアノ、教えてくれよ」


俺、お前は好きじゃないけど、
お前のピアノは好きなんだ。

わかっていているのに、俺はどうしても
この毒から逃げる術はないらしい。


ーーーーーーーーーーーーーーーー
ーーーーーーーーーーー
ーーーーーー

「ただいま、」


「おじゃまします!」


今日は家に田中さんが来ない日。
ということは、家にはどうせ誰も
いやしないってことだから。

ちょっとくらい、吉原真白を
家に上げたっていいんじゃないか。

そしたら、きっとこいつは
いい加減満足するんじゃないか。

俺はそう勝手に理由づけて、
吉原真白を家に入れた。


「わああ!広いんだね!
沙月ちゃんが言ってた通りだ」


まあ、吉原真白の言う感想は
珍しいものじゃない。この家に入る人は
誰だってそういう反応だから。


「二階に上がってすぐの、一番デカイ
扉の部屋に入っててくれ。
俺は飲み物、持ってくから」


「うん、わかった」


我ながら、幼稚園児にしては
十分過ぎる来客対応だな、と感心しつつ
素直に階段を上る吉原真白を見送り、
ここも無駄に広いキッチンへと入った。
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