記憶を失くしたわがまま彼♡





入学式の日…



「お前、誰?マジ目障り」



と言った事、




あの時市川の話をきちんと聞いていたら、市川は苦しまなかったかもしれない…




でも、今更遅いよな…




──────────────





「……せ……一ノ瀬…‼︎」





「…俺……思い出したよ」




「……一ノ瀬…?」




「山下…ごめん…ありがとう…」




「…美緒の事、全て思い出したの…?」




「……あぁ…」





「それじゃ、美緒に気持ち伝えなよ‼︎」





「もう…」




「もう遅いんだ…でしょ?そんな事言わないで」





俺が言い終わる前に山下が言った。





「でも、市川には尚人がいるだろ…」





「あんた、美緒の笑顔見て何も思わないの…?ずっと何かに耐えてる…美緒はあんたを待ってるんだよ…」





市川が俺を待ってる…?




「そんなわけないだろ…俺は市川を裏切った…」





「ねぇ…あんたがそれ言っていいの…?美緒を待たせてるんだよ…このままじゃ、美緒は崩れていっちゃうよ…」





「……」





俺は何も言えなかった…





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