My Precious ~愛する人よ~ Ⅰ
「そうだね。今日はここで野宿を」
「あぁ。そうしよう」
頷き合ってから、お互い目ぼしい場所を探す
しばらく辺りを見渡していると、少し離れた場所に大きな岩があるのを見つけた
そこへ馬を連れて行き、火を焚く
何もない世界に、ぼんやりと明かりが灯り
心が温かくなる
「今日の夜には川に着くはずだったが、道を間違えたか?」
「そんなはずないよ。明日もう少し進んでみよう」
火を囲んで座り込んだ父が、顎髭を触りながら、首を傾げてそう言う
温かい光に照らされた父の顔に、少し疲れの色が見えた