My Precious ~愛する人よ~ Ⅰ
父さんが寝ている時は、俺が見張りをする事になっていた
その反対で、俺が寝ている時は父さんが見張りを
旅の時、一番怖いのは
寝ている所を襲われる事だ
その時ほど、無防備な時はない
そんな時なのに、うたた寝をしてしまった自分が情けない
先程の音を不信に思い、辺りを息を殺して見渡す
焚いていた火は、すっかり燃え尽きて灰になっている
耳を澄ますが、痛いくらいの静寂があるだけで人の気配もしない
真っ暗な暗闇が俺達を包む
燃え尽きた木を挟んで向こう側には、ローブに丸まって眠る父が見えた