My Precious ~愛する人よ~ Ⅰ
「女王には会えないのか?」
気が付いたら、そんな言葉を零していた
何故か、どうしても会いたくて―――
すると、折っていた膝を元に戻して
真っ直ぐに俺を見つめるグレイス
「残念ながら、女王はそれを望んではいません」
「――」
「ですが、女王はアレン様達を危険な方達だとは認識しておりません。それは私も..同じでございます」
そう言って、ぐっと瞳に力を入れる彼女
薄いブラウンの瞳が俺を射ぬく
「ありがとう。分かっている」
「――誤解だけは、されませぬ様。女王は..とてもお優しい御方なのです。決してあなた様を警戒して、お会いにならないのではありません」
「――分かってる」
小さく頷いて、そう言った俺を見て
少しほっとした様に微笑んだ彼女
「女王は美しく、強い御方です。この国の、すべて――」
そう言って、強く瞳を閉じた彼女