My Precious ~愛する人よ~ Ⅰ
少しの間を置いて、コツ――コツとゆっくり足を進めて広大な景色を臨む、その場所で立ち止まったグレイス
その後をゆっくりと追う
すると
「この国は、1年前に1度――死にました」
俺がすぐ側で立ち止まった瞬間、落ちた言葉
真っ直ぐに、緑で溢れるその景色を見つめて
グレイスは、そう言った
「死んだ?」
首を傾げて、そう言う俺にグレイスは顔だけこちらに向けた
綺麗な髪がその顔を一瞬覆って、また元に戻る
そして、悲しみに満ちた顔で
「――・・・ガスパル」
そう呟いた