My Precious ~愛する人よ~ Ⅰ
その言葉にドクンと心臓が一度鳴る
「――それは、突然でした」
そう言って、再び視線を外に向けたグレイス
その表情を見ようと、その隣に立つ
そして、語られる
この国の辿ってきた道――
「この国は広い森と、深い霧に守られています。そして、騎士達が常に目を光らせ、この国を侵入者から防いでいます」
「あぁ、それは俺も身を持って感じたよ」
自嘲気にそう言って、未だに残っている傷をチラリと見る
突然世界を覆った白い壁
瞬きをした瞬間に、現れた騎士達
あの時、俺達が国を犯そうとする輩だったら
確実に殺されていた