秘密な蜜愛
『ねぇ。社長さん。』
『ん?どうした?』
いつものようにホテルの一室を利用し、体を並べていた時の事。
笑顔を忘れ、真剣な顔をした彼女が俺に言った。
『この関係…本気になってしまったとしたら…どうしたら良いですか?』
『…どうって…。』
何を言われているかすぐには分からず固まった俺に、すぐに笑顔を向けた彼女。
『…なんて。嘘ですよ。
素敵な奥様から、貴方を奪えるなんて思っていません。
安心してください。』
それが作り笑いだとは、俺には分かりきってた。
けれど、それを受け入れる事は出来なくて、同じように笑顔を作ってみせた。
『ビックリさせんなよ。お前はイイ子だ。』
”イイ子”
言いなれたその言葉に、彼女が困ったように笑うのを俺は知っていた。