チャット恋愛注意報!!(旧)
………
……
…
その後、フジヤマに家のそばまで送ってもらった。
さすがに、家の場所は教えなかったけど……。
「今日はありがと。 遠いところ、ごめんね」
「んや、全然。 今度はサクラが俺に会いに来るしな?」
「え? あ、えーっと……それはまぁ、ボチボチということで」
「おう、まったく期待してないぜ」
ふふっと笑ったフジヤマを見て、私も笑う。
「じゃあな、サクラ」
「うん。 また……チャットで話せるよね?」
「当たり前じゃん。 俺、サクラのこと好きだし」
「……フジヤマは女子大生のYUKIが好きだったんじゃないの?」
「うるせっ」
いつもチャットでしてるようなテンションで、私たちは話す。
そして……フジヤマはニコニコと手を振ったあと、車を発進させた。
……結局、ユキさんについての話は、あれ以上出なかった。
フジヤマは話さないし、私も聞かない。
『暗黙のルール的な何か』だ。
「……私たちも、いつかは離れちゃうのかな」
ほとんど毎日チャットで話しているし、今はメアドも知っている。
だけど、メアドは所詮捨てアドだし……チャットに顔を出さなくなれば、きっとそれまでだ。
いつかは、この関係が終わる。
いつか、チャットから『卒業』する日が来るのかもしれない。
それを感じながら、遠ざかっていくフジヤマの車をいつまでも見つめていた。