夏のカケラ
結局、吾妻さんの店を出たのは十時前であった。


二谷と三井と別れて、マイとヒロは歩いていた。


ヒロがマイの少し前を歩く。

昔から変わらない。


ただ変わったのは、ヒロの背中の大きさだ・・・

「なあ」


突然、ヒロが声を掛けながらマイを見た。

「ん?」

ヒロはマイの側に来ると、

「ツネって」

「え?」

「ホッペた」

マイは気付いて笑うと、ヒロの頬をツネった。

「イテテ!・・・もう良い・・・!」

マイの手が離れると、ヒロは頬をさすった。

「お前、加減しろよ・・・」

「加減して夢から覚めなかったら困るでしょ?」

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