鏡の中の彼女
「お待たせ」



そう言ってはにかみながら、点滴をつけたままの少女が出てくる。



季節柄、長い丈の服を着ていて、腕や足が前と比べてどれほど細くなってしまったのかはよくわからない。



だけど、以前と比べて明らかに彼女の手や顔が骨ばっていることは分かる。



「来てくれてありがとう」


「...いや」


ふふ、と笑う声がする。



何がおかしいのかと、彼女を見ると、



「陵ちゃん、全然変わらないなぁ」


という解説が返ってきた。



俺が変わらないのか、彼女が変わりすぎてしまったのか...。
< 13 / 61 >

この作品をシェア

pagetop